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セミナーコンテストグランプリ2017 特別対談

セミナーコンテストグランプリ2017 
北端 康良 × 立石 剛 特別対談

「10年 活躍できるセミナー講師とは?」

 

立石:毎年恒例になっている、セミコングランプリ2017の大会パンフレットの特別対談ということで、今年は才能心理学協会 代表理事の北端康良さんに私がインタビューをしていきます。まずご自身から簡単に自己紹介をお願いします。

北端:才能心理学協会の北端康良です。私の仕事は、ビジネスパーソンや経営者のかたの才能開発です。ビジネス的に言うと、「強みをどう仕事やキャリアやビジネスに生かすのか?」というお手伝いが一つ。あとは法人向けに、人材の強みや才能開発をしたいというニーズに向けてコンサルティングを行っています。

立石:書籍は今、何冊出されていますか?

北端:才能の見つけ方や活かし方のテーマで、『自分の秘密』という本と『才能が9割』という本と、2冊出しています。

立石:『自分の秘密』は、私もバイブル的に何回も読んでいます。パーソナルブランドの要素がたくさん書いてあり、あの本から学ぶ部分はたくさんありますね。

北端:結局、ブランドも才能も一緒ということが、研究するとよくわかります。

 

やればやるほど伸びるのがセミナー

立石:ご活躍中の北端さんですが、講師として年間どのくらい登壇されていますか?

北端:回数を数えたことはありませんが、才能開発を半年かけてやるコースなどもあり、年間数十回は登壇していると思います。

立石:講師歴は何年ですか?

北端:講師はトータル16年やっています。そのうち、才能心理学は5年です。

立石:北端さんのセミナー講師としての経歴を教えてください。

北端:大学を出て、ネット関係の仕事に携われたら面白いなと思ってIT企業に就職しました。まだ楽天やアマゾンもない時代だったので、これからの業界だな、と感じて。 

ですが、ネットの業界は面白いコンテンツがあってこそなので、大学を卒業したばかりのぼくには、当然それがないわけです。そんな時に心理学のセミナーに出会い、面白いからこれを広めたいと感じて、26歳の時に研修会社に転職しました。セミナー講師は、その研修会社でたまたますることになったんです。

立石:研修会社に入ったということは、入る前からセミナーや研修に興味があったのですか?

北端:もともと興味はありました。IT企業に勤めていたことでWEBを作るスキルは身につけていたので、研修会社の社長さんに「無料でホームページを作らせてくれ、自分の勉強になるから」と頼みました。その作ったホームページに問い合わせが増えてきたので、「業者に頼むか、僕を雇うかどちらかにしてください」と言って、雇ってもらいました。だから初めは、ネット担当だったんです。

立石:26歳で転職をして、即登壇されたのですか?

北端:転職してから、1年後くらいでしょうか。先生が「来週のセミナーができなくなったから、お前が代わりにやれ」と言われて……。「え、誰にも教えてもらってないですけど……」みたいになって。でもやらなきゃいけないということで、とりあえずその先生のセミナーを収録しているテープを丸暗記しました。

立石:なるほど。ということは、IT系だからあまり人の前で話す機会というのは……。

北端:全くないです。人前で話す恐怖心もありましたが、業務命令だからやらざるを得ない。だから、初めてやったセミナーで唯一願っていたのは、「誰も質問しないでくれ」ということです。

立石:初めてやったセミナーのテーマは何でしたか?

北端:心理学の入門講座、「なぜ人との間にトラブルが起きるのか?」というようなテーマでした。

立石:初めてのセミナーを終えて、ご自分ではどうでしたか?

北端:やっと終わったな、という感じですね。僕の先生は一流の講師なので、先生と同じレベルかどうかで自分のレベルを測ると、とてもああはなれないだろうというのが率直な感想でした。でもそれから次々にこのセミナーもやれ、あのセミナーもやれと言われて……。

「きっちりしなきゃいけない」という気持ちだけでやりました。参加されるかたは、みんな僕より年上のかたばかりだったので、大それたことは言えないですし、とりあえずその先生が話しているいろんなテーマのセミナーのテープを聞いて、すべて丸暗記しました。

立石:セミナー講師デビューをするきっかけがあって、その後はもう順調に?

北端:そうですね。セミナーはやればやるほど伸びます。先生のおかげでチャンスは与えてもらったので、順調でした。それでも、ようやくどんな質問が来ても大丈夫だなと思えたのは、3年くらい経ってからですね。

立石:3年間というのは、どれぐらいのペースで登壇されていたんですか?

北端:毎月3回ぐらいセミナーをしていました。時間で言うと、毎月22時間ぐらい。

それを3年ぶっ通しでさせてもらいました。

 

自分のコンテンツを通じて人の変化を見られることが、最大の喜び

立石:その会社は、結局何年ぐらい勤めたのですか?独立に至るきっかけは何だったんでしょう?

北端:その会社は9年いました。最終的には会社のナンバー2までいって、そのままいけば次の社長になるという感じではありました。僕がその会社を辞めたのが2008年なんですが、その数年前からセミナー業界が変わってきたというか、盛り上がってきた時代なんですね。

9年続けると、当時提供していたセミナーで受講者のニーズに応えきれない部分も見えてきます。心理学をどう活かせば、受講者のニーズに応えられるかを考えた時、新たなコンテンツを作れば、もっと役に立てると思って作ったのが才能心理学です。会社の方向性とは違うということで、独立することにしました。

立石:これまで9年間やってきたことから、新しいことをやるというのは、エネルギーがいると思うんですが、そこは比較的スムーズに行きましたか?

北端:いや、全然スムーズではなかったです。いわゆる講師業としての中のキャリアチェンジというか、全然違う分野のことを始めたので、基本的に新しい商品に関しては、認知度がまずないというのがありますよね。僕が前の会社を辞めたときにはまだ才能心理学の体系化はできていなかったので、それを作るのに3、4年ぐらいかかりました。

立石:正式に才能心理学と打ち出したのはいつでしたか?独立してからぐっと軌道に乗り始めたなと思われたのはどのあたりですか?

北端:2012年です。軌道に乗ったのは、おそらく始めてから1年か2年経ってからですね。本が出たのもその頃です。

立石:講師歴16年ということですが、改めて16年を振り返って、北端さんが感じる講師業の魅力について教えてください。

北端:一番は、人の変化を見ることができることだと思います。おそらく、これはどのセミナー講師もそうだと思うんですが、僕ら講師が影響を与えるのはセミナーに来られている目の前の人だけですが、その人が家に帰ったり、職場に帰ったりすると、その周囲の人に別の影響を与えて……と、自分の言葉やコンテンツを通じて人の変化を見ることができるのが一番の醍醐味ですね。
それと、「人が喜んだり、こんな笑顔になったり、成長したりするのをダイレクトに見られたり感じられるセミナー講師の仕事は本当にいいですね」と人から言われ、本当にそうだと感じました。

テクノロジーや人工知能がどれだけ進化しても、
人がどう生きるべきかという悩みは消えない

立石:今回のセミコングランプリ大会のパンフレットを見てくださるのは、講師になりたい人、もしくはすでに講師になっていて、努力をされている人が多いと思うんです。

今年、セミコンで講師デビューしたかたも多いと思うんですが、講師になりたての頃にどういう努力をしておくと、講師として結果が出やすいか?というところを教えてください。

北端:今の時代にとても重要なのは、やはり「自分のオリジナルコンテンツを持っていること」だと思います。セミナー講師になる人がすごく増えていますから、「他の講師と何が違うんですか?どういう違うことができるんですか?」と問われる時代です。「これができるのは私だけだ」というようなオリジナルなコンテンツを持っていることが何よりも重要ですね。

立石:そう考えると、セミナーコンテストではまさにオリジナルセミナーがたくさん出てきますから、本当にいい流れに乗っている感じはしますね。

オリジナルセミナーを作るときに、テーマ選びが重要だと思うんですが、北端さんから見て、オリジナルセミナーを作るためにどういうことを考えてテーマを選べばいいかを、才能心理学的に教えていただけますか。

北端:才能開発と同じなんですが、講師の立場で言うと、最終的に聞き手にどれだけ伝わるか?というのがすごく重要です。伝わる話というのは、結局講師自身が心から信じていることだと思うんです。信念がある人というのは、全員に子供のころからの様々な経験があって、時間の積み重ねがあるんですよね。セミナー講師といっても、僕は教師(学校の先生)と変わらないと思っていて、結局何かのテーマを追求している人だと考えています。この追求期間がどれだけ長くて、かつそれをノウハウ化できていて、人の変化を見ているのか?というところだと思います。

立石:すごく腑に落ちました。僕も個人的に思ったのが、常々良い講師をたくさん出したいと、このセミコンというイベントを10年やってきましたが、なぜこれが続いているのか?と思ったときに、信じていること、大事にしていることがあるわけですよね。

良い講師をたくさん生み出したいと思う根底には、「講師に恵まれていなかった」と思い込んでいる自分がいるんです。学生時代、そして会社に入ってからも研修などありましたが、受けても受けても変われない自分がいるわけです。いつからか忘れましたが、教師や講師に対して良いイメージを持ったことがないんです。でも学ぶこと自体は嫌いじゃなかったですが。自分が良い教育、良い講師をたくさん生み出したいと願う根底には、そういったものがあるなと。

北端:そうですね。僕も他の講師の話を聞いていて、なぜこの人がそのセミナーをするのかが気になるんですね。話を聞いていると、やはり過去に何かがあって開眼したとか、何かがなくて悔しくて頑張ってきたとか、そのルーツに繋がるんです。そういうかたは強いですね。

立石:そう考えると、過去を振り返ることはとても大事ですね。

北端:そうだと思います。コンテンツ作りに関しても、経験をコンテンツに変える訳なので、過去を振り返らないとコンテンツもできません。

立石:これからの時代をちゃんと見据えたうえで、活躍し続けることができる講師は何が大事なのでしょうか?

北端:本当の意味で、先生になれる人ですね。例えば、大人になっても小学校時代の担任の先生や中学校、高校、大学のときにお世話になった人に相談しに行く人がいますよね。今さら国語や数学のことを聞きにいっているわけではなくて、何かに悩んで行っているはずです。人生の悩みに答えてくれるのが、たまたま高校の時の担任の先生だから聞きに行っているわけで、これは極論、知識でもなければノウハウでもないと思います。それだけの人間力や知恵を持っている人が、これからの時代は生き残れる人だと思います。うちの認定講師に言っているのは、「哲学と道徳を学びなさい」ということです。

立石:哲学と道徳とは、具体的にはどういったことですか?

北端:哲学は西洋で生まれた学問で、道徳は日本やアジア、孔子や儒教など、そういうところからきているものです。「人間はいかに生きるべきか」「成長とは何か」「正義とは何か」みたいなことをずっと問うている学問・思想体系です。

講師はノウハウを教えますが、それをどう使うのが人としていいことなのか?講師としての在り方にそれは沿うのか?というところが大切で、最終的には、それしか人間が人間に聞きたいと思うことはなくなるということです。

コンテンツの根底にある講師の思想が多くの人にとって共感を得るものであれば、その人にはファンが付いてきます。テクノロジーや人工知能がどれだけ進化したとしても、人がどう生きるべきかという悩みは消えないからです。別の言い方をすると、ノウハウどうこうというより、目の前の生徒に向き合い続ける人が10年以上活躍できる人だと思います。

 

すべては、「自分が伝えたいメッセージは何か」
というところから始まる

立石:最後に北端さんのこれからの将来、自分の夢とかビジョンを聞かせてください。

北端:才能心理学の話になりますが、すべての人が自分の才能をわかっていて、それを一番生かせる仕事を選んでいるのが最高の状況だと考えています。これから会社や正社員という形態がなくなっていくと、自分がなぜこの会社や、このプロジェクトに自分が貢献したいのか?語る力が必要になります。それがわかっている人は仕事が遊びのようになり、熱中するので、そういう人を増やすために、才能プロファイラーを育てています。

セミナー講師や学校の先生、会社の管理職に人の才能を引き出す技術、才能プロファイリングを身に付けていただいて、1社に1人や1つの学校に1人など、才能プロファイラーがいたら世の中が楽しくなると思っています。

立石:これから講師を目指しているかたに対して、改めて北端さんからメッセージをお願いします。

北端:あなたが言うからこそ、人に届く、響くメッセージがあると僕は思っていて、これからセミナー講師になりたいかたは、そのメッセージをぜひ見つけてほしいと思います。今までの人生経験の中で、絶対それはあります。それを見つけた人がセミナー講師になっているし、そのメッセージを実際に実現するためにノウハウを考えるし、すべては自分が伝えたいメッセージは何だろう?というところから始まると思いますね。ぜひそれを見つけてください。

立石:共感します。今日は貴重なお話をありがとうございました。

 

(※対談は2016年12月に行なわれました)

 

プロフィール

北端 康良(きたばた・やすよし)
一般社団法人 才能心理学協会 代表理事
才能プロファイラー/才能開発コンサルタント
13年間で5,000人のカウンセリングを行い、300名のカウンセラーを育成。3つの質問で才能を引き出す才能プロファイリングを得意とする。才能に目覚めたクライアントの中には、顧問料金が2倍になった税理士や左遷支店からエリート支店に栄転したビジネスパーソンなどがいる。再現性のある才能開発メソッドが評判を呼び、教師、コンサルタント、コーチが海外からもセミナーに参加。すべての人に、それぞれの才能を届けるをミッションにセミナー・執筆活動を行っている。
著書に『才能が9割 3つの質問であなたは目覚める』、『自分の秘密 才能を自分で見つける方法』(経済界)などがある。

 

立石 剛(たていし・つよし)
有限会社ブランドファクトリー代表取締役
一般社団法人日本パーソナルブランド協会代表理事
同志社大学卒業後、大手損保険会社に入社。29歳の時に生命保険会社へ転職し、研修やセミナーに興味をもちはじめる。37歳で「パーソナルブランドセミナー」をテーマに講師として登壇するようになり、ビジネス誌でも大きく取り上げられる。全国各地からセミナーや講演の依頼が増え続ける。翌年「パーソナルブランド」を専門にした研修コンサルタント会社を設立。自ら企画した日本初のイベント「セミナーコンテスト」が話題となり全国8カ所で開催。現在は講師育成に力を入れている。これまでに育成した講師の数は1,300名以上に及ぶ。
著書に『セミナー講師の教科書』、『結果を出す人のたった一つの行動習慣』などがある。